山の春
「シルバーハート(イタリアンウォールナット)を使った食器棚のオーダー」
軽井沢 O様
design:Oさん
planning:daisuke imai
producer:number 8 furniture
painting:daisuke imai
これから軽井沢にご新居を建てられるというOさんからお問い合わせを頂きました。
「ホームページを拝見し、キッチンのバックセット(食器棚)をお願いしたく、ご連絡させていただきました。
イメージに近いのは葉山K邸などです。下の棚の天板は、鍋等が置けるような素材がいいです。
建築する場所は軽井沢町になりますが、大丈夫でしょうか。」
と言うご相談でした。それが昨年の3月、ちょうど1年前のことでした。
軽井沢と言えば、一昨年の夏にFさんのキッチンを作らせて頂いたので、なんとなく土地勘は分かります。
「大丈夫ですよ。ただ、ここからは遠い距離になるので、それなりの経費は掛かってしまいますので、そのことだけ確認させてください。」とお伝えしたのです。
遠距離のお客様とお付き合いさせて頂く場合に一番の問題になるのが交通費などの経費です。家具を使う人との距離はなるべく近いほうが良いのです。家具は消耗品です。もし、家具を使っていてどこかが故障したり、使い勝手が悪くなったりした場合は、すぐに伺える距離が一番良いのです。それから、「ここの扉にガラスを入れたい。」とか「この部分を扉から引き出しに変更したい。」と言うようなご相談がある場合でも、すぐにお話できる距離が良いのです。家具をオーダーして作ると言うことは、その人と、その家具と、その暮らしに家具をお届けしてからずっと関わっていくことです。それが私たちの責任であり、家具をオーダーして作ることのメリットです。
それがしづらい距離になってしまうのですが、大丈夫ですか。とお伝えしました。
Oさんはその点も了解してくださいました。そして、そして、その後私たちのところに打ち合わせに来て頂いて、ほぼ形が決まりました。
使う素材は、当初考えていたのは、葉山のKさんの家具に使用したナラ材でしたが、打ち合わせに来て頂いた時にアルダーで作った椅子を見ていた奥様が、この木の優しい表情が好きです、ということでイメージは大きく変わって優しい赤みを持つアルダーで製作することに。
3ヶ月を掛けてプランが決まりましたが、ご新居ができるのは、まだ半年以上も先。と言うか、ご新居の着工よりも前に家具の形が決まりました。こんなに早く決めてしまったのは初めてですね。ここからはしばらくお休みです・・。
そして、10月に入って、久しぶりにOさんからメールがありました。着工時期と引き渡し時期のお知らせでした。
私はひとつ悩んでいることがありました。現地採寸をどうするか、と言うことです。Oさんのお話ですと、設置場所には特に障害物はないと言うことで、必要な電気のケーブルも私が指定した位置に出しておいて頂けるとのことで、「特に採寸はして頂かなくても大丈夫ですよ。」と言うことでした。
(うーん、心配だ・・。)と思いながら、年を越します・・。
その後ご新居の巾木のサイズやケーブルの位置についてもう一度確認させて頂き、結局採寸しないで製作に取り掛かることに決まり。(大丈夫だろうか・・。)
そうして、3月半ばに完成した家具を持ってお伺いしたのが冬の終わりの温かな日でした。
と言っても、朝方に到着したここ軽井沢の気温は、3℃。寒いね。8時ごろから作業を始めさせて頂き、終わりに近づくお昼近くになると、動きやすい温かさになり、ホゥッと息をつきます。見ると、低く長かった陽射しは、高くバルコニーに射すようになり、このOさんのリビングに春がやってきていました。
さようなら、また来ますね。
「イマイ様、大変お世話になっております。
本日は遠方より、キッチンバックセットを設置して頂きありがとうございました!!
色、材質共に新居のキッチンと良くマッチしており、大変気に入っております。
本当に今井さんにお願いして良かったです!!今後、分からない事やメンテナンスなどでお世話になる事があると思いますので、引き続きどうぞ宜しくお願い致します。」
アルダーとシルバーハートの食器棚
価格:650,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は50,000円から、取付施工費は50,000円から)