「ナラのテレビボードのオーダー」

葉山　K様

design:Kさん
planning:daisuke imai
producer:tsuyoshi kawaguchi
painting:daisuke imai

昨年、食器棚を納品させて頂いた時にKさんからちょっとお話をされていたのが、そのテレビボードでした。こんなに早くまた製作させて頂ける機会が来るなんて思っていなかったので、ちょっとビックリでしたが、先日そのテレビボードをようやく納めることができました。

「こんにちは、イマイさん。お世話になっております。
食器棚を取り付けていただいてから、ほぼ1ヶ月がたってしまいました。HPに載せていただいたんですね！
主人も私も、我が家のことなのでなんだか恥ずかしく、へぇ～なんて思いながら読みました（笑）
食器棚は、見るたびに使うたびに嬉しい気持ちにさせてくれます。ちゃんと大事にされていますよ（笑）
さて、テレビボードの件です。やっとメールをすることができます。
というのも、テレビボードを考え始めると、ソファも気になり、ソファが決まらないと、なんだかテレビボードも決められないなぁということになってしまいまして。そして無事に納得のいくソファに出会い、頭の中もまとまってきたので、こうして今井さんにお願いのメールをすることができるようになりました。
といっても、主人と二人、私たちではどうもまとまりません。今井さんと相談させていただきながら、形も素材も最終的に決めていきたいと思っております。
ファイルを添付します。テレビボードと、キッチン横棚の2つがあります。
テレビボードは、何となくの希望の形と、収納したいものが収納できるように、と思って書いてみました。そうしたら、食器棚と同じように、簡素ですね（笑）
でも、それくらいでいいと思っているんです。カッコいいとか、すごいデザインされている、というよりは。すっきりとしていながら、温かみのあるのがいいです。箇条書きは思いつくままに書いてみました。 今井さんテイストを入れて欲しいなぁと思うのですが、いかがでしょうか・・・。」

これが、2009年の9月下旬。さあ、いよいよKさんの次の家具が始まりました。

「メールありがとうございました。 ファイルもさっそく拝見させて頂きました。
まずはまた土台となるプランとお見積を作ろうと思いますが、Kさんとは直接お会いしてお話したほうが、プランに広がりが生まれると思っておりますのでまた時期を見て、一度またお伺いしてお打合せをさせて頂ければと思っております。もし都合が合えば、騒がしいかもしれませんがうちのファミリーでお邪魔できたらなんて思っています。（笑）
では、原案ができるまでしばらくお待ちください。遅くても今週末までにはお送り致します。」
と、まずはテレビボードの原案と、当初考えていたキッチンの横に置くお兄ちゃんとお嬢ちゃんの絵本をしまう棚(こちらは、今回は取り止めになりましたが、そのうちご主人がこの工房に来てセルフビルドしてくれる予定です。(笑）)のプランとお見積もりをお送りしました。ある程度の形は食器棚を取り付けに行った時にお話させて頂いていたので、だいたいの形はまとまっていました。では、次は細かい部分のお話しに行きましょう。
と、言うことで今回はお言葉に甘えて、家族でお邪魔させて頂きました。とても美味しいランチをご馳走になって、さあ、打ち合わせと思いましたが、子供たちがいるとなかなかうまく行かず・・。何だかご飯を頂きに来てしまっただけのような・・。
そんなゆったりとしたペースでお話を進めていきます。絵本棚がなくなったのは少し残念でしたが（でも、DIYもまたみんなで楽しめるのでひそかに心待ちにしています。）、私が気に掛かっていたのは、1階から上がってくると階段の手摺越しにリビングが丸見えになることでした。
Kさんのお宅は2階に上がると、鉄骨で組んだシンプルな手摺からリビングが見えます。階段と言う狭小な空間から天井高いリビングが開けた時の開放感をうまくいかしているのですが、視線を階段からキッチンへと導く途中の壁にマルチアウトレットがついているのですが、電話、パソコンのケーブル、コンセントなどが全てこの壁から出ているのです。テレビのアンテナは幸いテレビボード側にあったのですが、いろんなケーブルとその機器が廊下にあるのがちょっと淋しくて・・。それで、Kさんをどうにか説得しました。私としても初めての経験です。今までは皆さんに作ってほしいと頼まれた家具を考えることが仕事と思っていたのですが、自分から「この家具をここに作りましょう。」だなんて・・。押し付けるようなことは絶対にしたくないってこの仕事をしはじめてからずっと思っていたのですが、Kさんもだんだんと私の意見に賛成してくださって。こういうのはうれしいなあ。

当初、ルーター収納(この壁に掛かった吊戸棚のことを私たちはこう呼んでいました。)はもっと違った形で考えていました。当初はこの壁のそばにソファが来ることになっていたので、ソファの隣のコーナーテーブルのような形にしてそのテーブルの下をボックスにしていろいろしまっちゃおう、と考えていたのでした。そうすれば、ソファの背中から階段側が廊下的な感じになって空間にメリハリもつくし、いいね、いいねなんて一人で思っていたら、Kさんが「あれから考えたんですが、ソファは背中を階段の手摺につけることにしたんです。そうするとリビングが広くなるし。」とレイアウト変更となりました。
そうなると、階段から上がってきた人は必ずソファの前を通るから、また動線が難しいなあ、と一人考えていたのです。
で、思ったのが、ちょっと通りづらくするのはどうかな、と言う形でした。階段から上がってそのまま簡単に通り抜けられるような感じだと、リビングとダイニングとキッチンが一つながりの曖昧な大空間になってしまうのですが、ちょっと通りづらくて、さらにテレビボードとデザインを揃えると、リビングはリビングだけのつながりができるのではないかと思ったのです。
そのようなわけで、機器を収納する棚は、コンソールテーブルのように壁際にピタッとついている小ぶりなキャビネットを想像したのです。でも、それだと重い印象・・。そこで、中に浮かせることに。うん、これです。これです。良い形です。これで、リビングがまとまりそうです。テレビボードは、もう基本的な形が決まっていたので、あとは細かく作りこんでいくだけ。良い形がまとまりました。

「イマイ様、土曜日はありがとうございました！！
もう本当に素敵です！静かなやさしい佇まいの中に、緊張感もある家具。まさに私が憧れていた雰囲気の家具です。
「階段を上って見える家具がいい」とブログに書いてくださいましたよね。
本当にそう思います。でも、私はキッチンから見る家具も好きです。
キッチンに立ってリビングを見るたびに、心の中で声には出しませんが感嘆してしまうのですよ。
今日はいろいろと収納してみました。書類関係はまだまだ余裕があります。
リビングの家具はどうしようかと話し合っていたときに、既製品を買うという選択肢もありました。でも、やっぱり今井さんにお願いしてよかったねと、主人としみじみ話しました。
だって、本当にずっと長い間大好きでいられそうな家具です。大事にしていきたいと思います。
それから食器棚のメンテナンスもありがとうございました。実際にやってくださっているのを見たので、もう分かります（笑）。経年変化もすごく楽しみです。
今回の家具も真新しいのもいいけど、古くなって味がでてくるのが今から楽しみです。インテリアにも深みが増して、もっと居心地のいい空間になっていく気がします。
フリーハンドイマイさんの家具が、我が家にとてもいい雰囲気を作ってくれています。
本当に本当にありがとうございました。そして、またよろしくお願いします！！」

良かった、良かった。
そして、とても楽しいお仕事をさせて頂きましてありがとうございました。またお会いできるのを楽しみにしておりますよ。