she smiled to see a wonderful face of the him
「ナラ板目のダイニング壁面収納のオーダー」
秦野 I様
design:Iさん
planning:daisuke imai
producer:tsuyoshi kawaguchi
painting:tsuyoshi kawaguchi
Iさんが最初に来たのは・・・、そうたしか来て下さったような気がします・・。確か私は留守だったと思います・・。もう2,3年くらい前だったでしょうか。おぼろげですね。
その日は私が定休日の時で、父が突然いらっしゃったIさんと打合せをしたのだと思います。ダイニングの収納をと言われていて、プランを作成して、何度かメールのやり取りをさせて頂いて、それからまもなくちょっと事情があって先にしなくてはならないことができてしまったと言うことで、家具は一旦キャンセルとなったのでした。
そして、1年か1年半前にたしか再びいらっしゃったのだと思います・・。またまた、私は予定があって外出していてIさんとは会えず終い・・。でも、また要望だけは聞くことができたので、では前回の続きから、と言うことでプランを修正して見積を出して、何度かやり取りをさせて頂いて・・、また「しばらく考えてからにしたいと思います。何度もすみません。」(確かこのような感じのことを言われたような・・。)と連絡を頂いて、また連絡が途絶えてしまったのです。
そして、この8月に3度目のご連絡を頂いたのです。そこでまたまた、デスクの奥のほうからゴソゴソとIさんの書類を取り出して、「うーん、どんな形だったっけ。」と思い出します。
今度は、メールではなくIさんのお宅を見ながら打合せをしたいと言うお話だったので、いよいよIさん自身プランがまとまったのかなって思えたのです。
さっそくIさんのお宅にお邪魔します。Iさんは私が以前少しだけ通っていた大学に勤めていらっしゃる方。だから何となく身近に感じていて、しかも奥さんのフランクな性格が、お話していてとても楽しく、家具はすてきな方向へと進んでいったのです。
Iさんのイメージは、「茅ヶ崎の北川さんのキッチン」もう、大人気なのですこのキッチン。
このキッチンのバックパネルの表情をこのダイニングに表したいのだと言うことでした。それだと、突き板では、木目がきれいに揃った表情になってしまうので、ちょっと違ってしまう、無垢材だと框組みして扉を作らないと、将来的に必ず木が動くから、反りが起きた時にメンテナンスが必要になってしまうし、ならば、あの時のキッチンと同じように無垢材をうすく挽いて扉材として使うしかないかな、と言うお話にまとまりました。Iさんの一番の希望は、この表情だったので、あとは比較的シンプルな形でお話がまとまりました。ただ、一つ迷っていたのは、素材選び。Iさんが希望していた素材はチェリー。でも、リビングダイニングを拝見させて頂くと、どちらかと言うとチェリーの赤茶色の色みは少なく、メープルのダイニングテーブルやカップボードなどのもう少し明るめの茶色でまとまっている印象。そこで、考えたのは、北川さんと同じ、ナラ材か、チェリーより明るいけれど、いろんな表情が出るアルダー材か、と言うことでした。
後日、アルダーを使ったキッチン「軽井沢のFさん」の生地と写真を確認して頂いて、最終的には、やはり最初に北川さんのキッチンを見て気に入ったと言ういことを思い返し、ナラ材に決まったのです。
良かった良かった。
こうしてお話がまとまりましたので、さっそく製作に取り掛かりました。今回のポイントは表情なので、あえて節の入った材や色の濃さの違う材を混ぜながら扉や天板の感じを考えていきます。
こうしてできあがった形はとても良い感じ。
さっそく取付に伺うと、思っていたよりも奥さんの声が出ていません。打ち合わせの時はあんなにいろいろとお話してくださっていたのに、もしかして期待外れなできあがりになってしまっているのだろうか・・・、なんて心中ザワザワとなりながらも、今回の取付は、製作を担当した河口君が忙しくて来れなかったので、新人の渡辺君と来ているため、全く作業に気を抜けないので、取付しながらそんなことは聞けずに、ただ黙々と作業をしていくのでした。その間、ほぼじっと見つめる奥さん。うーむ、どうなんだろう。
取付作業は、予定よりも難航しました。
考えていたよりも壁が手前で斜めになっていて、壁際で採寸をしていたので、予定していた納まりよりも5mmも右にプランがずれ込んでしまうことになりそうでした。急きょ、壁の傾きに合わせて、天板をその場でカットし一番右のビズレーの引き出し部分に寸法に逃げを採っていたので、その部分でズレを吸収することで、きれいに取り付けることができました。そんなわけで、さらに私の気持ちはザワザワと・・。
「じゃあ、Iさん。これで取り付け完了です。」と言ってIさんを見ると、とてもうれしそうな顔。
聞くと、何だかとてもうれしくて言葉が出なかった様子でした。
ほぅ、そうでしたか。
なるほど、それはとてもうれしいなあ。
「ごめんなさい、ずっと見入ってしまって。お茶も差し入れることができなくて。これは良かったら帰りに召し上がってください。」と微笑みながら、お茶とお茶菓子を手渡して下さいました。
そんなわけで私たちはひと安心して帰ってきたのでした。
ナラ柾目のダイニングボード
価格:410,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は12,000円から、取付施工費は25,000円から)
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