ゆるやかな家具たち

「ホワイトポリエステル化粧板のカウンター下収納とウォールナットの本棚のオーダー」

三島 M様

design:Mさん
planning:daisuke imai
producer:tsuyoshi kawaguchi

ガラス引き戸のある白いカウンター下収納と吊引き出し

全体の様子。

カウンター下収納をオーダーしたいのです、とお問い合わせを下さったMさん。三島に住んでいらっしゃったのでした。三島と言えば、昨年キッチンを作らせて頂いたKさんがいらっしゃいますが、住所をお聞きするとわりと近いのでした。
不思議ですね。三島と言うと箱根を越えてようやく辿り着く場所。私たちのところからはそれなりに距離があります。それなのに、同じ年に3件(この時期にもう1組打ち合わせをしていた三島のお客様がいらっしゃいました。)も、しかもどのお客様もお互いの距離が車で20分くらいのとても近い距離。三島の駅前では、フリーハンドイマイが流行っているのだろうか・・・。

ガラス引き戸のある白いカウンター下収納と吊引き出し

引き出しと引き出しの間のオープンスペースはダイニングテーブルと高さを褪せて、読みかけの雑誌やティッシュボックスなどが置けるようなスペースになっています。

Mさんから頂いたファイルとご要望を拝見させて頂いたのですが、それを形にするのはなかなか大変でした。
ベースの形としては、川崎のWさんのカウンター下収納なのですが、Wさんの場合は、素材に突き板を使えたので、柔軟性があったのですが、今回のMさんの場合は白くてシンプルに見せたいと言うことで、化粧板を使ったのですが、それでコーナーの丸いボックスを作るのが少し悩ましいところでした。そして、白い板の戸とガラス戸が組み合わさった引き違い戸も、どうしたらきれいに見えるかをあれこれ悩みながら形にしたのでした。ガラス戸と白い戸のは一見簡単そうに見えますが、写真のような扉の閉め方のほかに市松模様になるように白い戸とガラス戸が交互になるように、そして交互になっても扉の見える幅が整うようにするにはどう割りつけてゆけば良いか、どう家具を組み立ててゆけば良いかといろいろと悩んだのでした。

ガラス引き戸のある白いカウンター下収納と吊引き出し

丸いボックスと右の扉は取っ手をつけないで、Wさんと同じように四角く穴をくりぬいて手が掛けられるようにしています。この部分を曲げるのに通常のメラミン化粧板では、厚み1.0mmあってとても反発力が強いので、曲面用の「メラカーブ」と言う材を使っています。

そして、それよりも大変だったのが、ウォールナットで作った本棚でした。曲がった脚を持つ楕円形のような本棚をどう実現させるか、製作を担当した河口君やスタッフ皆でアイデアを出し合いながら加工方法を考えていったのでした。
その甲斐あって、2台の家具ともとてもよくまとめることができました。
家具の納品後、Mさんからお便りを頂きました。

ガラス引き戸のある白いカウンター下収納と吊引き出し

丸いボックスを開けた状態。

「こんにちは、Mです。
本日はどうもありがとうございました。歩行者天国のために、朝早くから移動して頂き、またお車の駐車に関してもご面倒おかけして申し訳ございませんでした。
家具についてはお礼申し上げたい点が多数あるのですが、全体として妻が「想像していたよりもはるかに素敵」と言っておりました。本当に有難うございます。また、メンテナンス方法について詳しくお教え頂き、こちらもありがとうございます。少し時間をかけてじっくりと読ませて頂きます。
さっそくですが家具に少しずつものを入れはじめました。
本棚は隣合う机とも雰囲気があっており夫婦ともとても喜んでおります。今まで雑然と部屋のすみに置いていたものがすっきりしました。今は本棚の内枠のひとつは子供関連の物入れに使っております。子供が大きくなってきたら本棚や飾り棚としての使用を考えております。
収納の方は、今はまだ少し貧相な感じですが、これから先日撮った家族写真などを入れていき拡充していければと思っております。現在はガラス部を交互にして使っておりますが、季節や気分によってガラス部の位置を変えて気分転換できればと思っております。
色々とどうもありがとうございます。イマイさんにお願いして本当によかったと夫婦でも話しております。
ところで、先日友人が家に遊びに来たのですが、作って頂きました家具が大変好評で、「カウンター下収納はもとからあったみたい」「今度家具が必要になったら作ってもらおうか」と言っていました。
このたびは本当にどうもありがとうございました。
今後とも、宜しくお願い申し上げます。」
Mさん、うれしいお便りをありがとうございました。

ガラス引き戸のある白いカウンター下収納と吊引き出し

引き出しや右の扉、そして丸いコーナーボックスのアウトセットと、白い戸とガラス戸のインセットの部分をどう納まりよく見せるか、何も考えずに作ってしまうと、締まらない印象の家具になってしまうから、今回のようにセット量が混在する時は気を使うのです。

ガラス引き戸のある白いカウンター下収納と吊引き出し

カウンターの上には、こちらも評判が良くて依頼されることの多い、宙に浮いた引き出しをつけています。これがあると引き出しの上が飾り棚のように使えるからこの場所がとてもうまくいかせるのです。

ブラックウォールナットのアールの本棚

こちらが緩やかな脚をした本棚。厚み60mm近い板を曲線に削りだしていくのはなかなか大変。手で削りだすのは、かなり大変でしたので、今回は神奈川県の工芸技術所さんの機械を利用させて頂いて加工を行ったのでした。

ブラックウォールナットのアールの本棚

大きな本棚の中に入っている小箱も緩やかな脚になっています。この小箱は本棚にしたり、もしくは背板を下面に寝かせておもちゃ箱のように使うこともできるサイズになっています。

ブラックウォールナットのアールの本棚

そして、2台の本棚を積み重ねた時にうっかり上の本棚が動いたりしないように、本棚の下面には小さな脚がついています。その脚が天板上にある溝にはめ込まれて簡易的にロックされる構造になっています。

ガラス引き戸のある白いカウンター下収納

価格:500,000円(制作費・塗装費)

ウォールナットのカーブした本棚

価格:390,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は40,000円から、取付施工費は40,000円から)

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