丘の街
「テレビボードのオーダー」
磯子 O様
design:Oさん
planning:daisuke imai
producer:tsuyoshi kawaguchi
painting:tsuyoshi kawaguchi
最近は、リビングの壁の端から端までを使った収納を作る機会が増えています。それも、高さが天井いっぱいではなくて、机になるくらいの高さのものが。短い期間でたて続けに3人の方から背の高くないボードの注文を頂くと、面白いものだなぁと思ってしまいます。Oさんの家具もやはりテレビを載せて、それでいてパソコンを使うデスクも兼ねるリビングボードをという注文でした。
ところで、オーダー家具は取っ掛かりが分からないから自分で考えるのは難しいそうだと言うお話を時々聞きますが、実際はそんなに難しくもなく大変でもないのです。Oさんの場合は、最初からしっかりとしたイメージを持っていてそれをFAXで送ってもらえたので、形をつかみやすかったのですが、考えるのは難しいと思っている方でも「ここにはこれをしまいたい。」「ここの部分はこう見せたい。」というような個々のイメージを必ず持っていると思います。それを一つ一つまとめて、形にするのが私の仕事です。メールでも、直接お話ししてでもイメージのやり取りをするとその漠然としたものがグッと自分の中で固まります。それが楽しいんですね。そして、時には私の予想しないイメージを与えてくれる。それがまた楽しい。
Oさんの家具も今までにないイメージが詰まっています。
まず、今回は木の表情より色を優先しました。ナラは元々黄土色っぽい茶色、もしくは褐色の材料ですが、その木を使って赤く着色しています。あまり赤過ぎず、あまり茶色過ぎず・・。サンプルを作って色を確認します。2通りのサンプルを作りました。一つは「木の導管(木目)の部分は茶色に近い色で全体は茶寄りの赤茶色」。もう一つは「導管も、全体も赤寄りの赤茶色」。個人的には最初のほうが好みです。何事も暗い目のほうが好きなのです・・。
Oさんが選んだのは赤寄りの方です。なるほど、全体にこの色がくるとどうなるのでしょう。私にも読めません。それと、最近は取っ手をつけないタイプの家具が多くなってきましたが、今回は久しぶりにツマミをつけます。ツマミをつけると家具の表情がガラッと変わるから面白いのです。今回Oさんが選んだのは黒い球体のもの。丸くて、それでいて2cm以上の直径があるのでなかなか存在感のあるツマミです。実際にリビングに置かれるとどんなふうになるか楽しみでした。そして、こうやってテーブルやソファやテレビが載ると、ソファの生地の色やテレビの色、テーブルの脚の色など、なるほど雰囲気良く似合います。そして、明るい床にリビングボードや他の家具が引き締まって見えます。
いつものことながら、今回もとても勉強になりました。
そうそう、Oさんの住むこのあたりは小高い丘になっています。ここに来るまでも丘を登ったり、下ったりしながらやってきました。こういう坂の多い街って住むのは大変でしょうけれど、普段感じることができない空気があっていいですよね。
それに、Oさんがおっしゃるには「冬には、雪が積もって滑ることができる」のだそうです。
デスクと一体になったナラのテレビボード
価格:440,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は15,000円から、取付施工費は27,000円から)
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