Kona Salonの最初のアトリエ作り
「ブラックウォールナットとステンレスヘアラインのコの字型オーダーキッチン」
Kona Salon熊崎さん
design: 熊崎さん
planning: daisuke imai
producer: tatsuya suzuki/hidenori terai/tsuyoshi kawaguchi
painting: haraki tosou
「今井様 初めてメールいたします。
素敵な会社のサイトに巡りあえた!と喜んでいるところです。 今年末にリフォームを予定しており、それに伴った家具を数点検討しています。 リフォームのきっかけは、和室を洋室に変えて、困っている1000冊以上の大型本の収納を作りたいということ、今年始めたパンをお店に卸す仕事をもっと機能的にしたい、将来パン教室をしたい、ということからです。 」
2005年の5月の半ばにKさんからの問い合わせがありました。もう1年近く前のことです。マンションのリフォームと言うことなので、私はさっそくいつも一緒に仕事をさせてもらっているリフォーム会社さんを紹介しました。(偶然にも中学校の先輩の会社だったのです。)
その後、Kさんより
「長い目で段階的にリフォームしていくか、チャンスを生かしてこの際キッチンのあたりも一気にリフォームするか、で、お願いする家具が変わってきそうです。少なくとも、テーブルはお願いすることになります。絵は苦手ですが、がんばって書いてみますネ。それでは、またメールorFAXいたします。」
とお返事を頂き、Kさんはリフォームの打合せに入ったのだそうです。
その後パタッと連絡がなくなってしまったので「どうしたのかな」って思っていて、先輩から頂いた別の仕事をしていた時に、そこの専務さんが「そろそろKさんのプランが固まってきたから、今井さんにも手伝ってもらおうかな。」と。
もう10月、季節は秋から冬に向かおうとしていました。
「いつ頃の工事になりそうなんですか。」っと聞くと、「それが工事自体は来年の2月過ぎくらいになってしまいそうなんだよ。」と言うこと。
工事自体はプランが決まればすぐに掛かれるのだけれど、一番の問題はガスコンロの到着にとても時間が掛かるものらしいのです。バイキング社のコンロ(このページの一番上に載せた写真)は注文を受けてから作るものらしく、製作に1ヶ月以上掛かるのだそうです。プランはほぼ固まってきたので、細かい部分を決めたら年内にコンロを発注しても、こちらに船で入ってくるのが2月頃になるのだとか・・。何だか大変なんだなぁ。
ということで、ひとまず専務さんと一緒にKさんのお宅にお話を伺いに行くことに。
Kさんのお宅のお邪魔すると、最初のメールにあったようにパンやケーキを自宅で本格的に焼いているので、道具や器具がきれいにたくさん並んでいます。ここからどう変わるのでしょうか。
既にほぼ決まってきている図面を見せてもらいました。和室をリビングに変えて、キッチンの入り口が現在は廊下に面しているのを、ダイニング側から出入りできるように動線を変えて、そして一般的なI型のシステムキッチンからシンクとコンロを分けた大きなキッチンスペースを作るという大掛かりなプランでした。
家具のプランもほぼ決まっていたので、私は素材を決めたり細かい部分の打合せをさせてもらいました。
その家具の詳しいお話です。
コストの関係から、キッチンの収納本体の素材はオレフィン化粧板で製作して、扉や引き出しの前板などの正面にあたる部分は、Kさんの気に入った「ウォールナット板目材」をオレフィン化粧板の色に合わせてウレタンで着色塗装仕上げをすることになりました。
キッチンカウンターのトップも当初はタイルを貼る方向で話が進んでいましたがステンレスのヘアラインにすることに。シンクはKさんの提案で小ぶりなものを2層並べることに。最近ではなかなか見かけない珍しい形です。(昔バイトをしていた焼肉屋さんは流して、荒って、すすいでの3層だったのを思い出しました。)Kさんも以前どこかで2層式のシンクを使ったときにとても使いやすかっただそうで、今回自宅のキッチンに取り入れることにしたのです。
パンやケーキを作るテーブルもウォールナットウレタン着色仕上にして、天板は生地を作ったりしやすいようにコーリアン(人工大理石)にしています。1200/900/700の大きなものですが、比較的軽くできています。
素材はオレフィンとウォールナットのほかに、もう1種類使いました。表面がエンボスっぽく少しボツボツとなった白い化粧板です。これは壁と同じように見せたい部分の家具に使っています。
冷蔵庫の隣の奥行の狭い背の高い収納は壁に見せるように家具の外側にはクロスを張り、扉はその白い化粧板を使ってキッチンとダイニングの境界の役割です。
もう一つはダイニングと新たなリビングの境界に立つ大きな食器棚です。境界に立つものを白くしているので圧迫感はありません。部屋のメリハリをつける良い区切りになっているのです。
そしてもう一つは、リビングの書棚兼家電収納です。こちらは本屋オーディオが入ると家具がグッと引き締まります。
1000冊以上はあるという料理に関する本は目の当たりにすると本当にすごい量です。このリビングの床面はコルクシート貼りにしてあり、弾力のある床なので、家具を納品して間もなくKさんが本をしまったら本の重量で家具が少し床に沈んだそうです。おかげで隙間を埋めたシリコン材が剥離したので再コーキングをすることに・・。紙が集まるとこんなにも重くなるのですね。
また剥がれたら言ってくださいね。
Kさんのとても素敵な提案の中にナベ掛け、スプーン掛け、踏み台、ペンダントがありました。
スプーン掛けはKさんがこちらに来てくれた時に持ってきた雑誌からヒントを得たものです。その雑誌にはヨーロッパの家庭のキッチンが載っていて、そこにとても質素だけど可愛らしいオタマ掛けがあったのです。いろいろなハンドメイドのオタマがずらっと木のベースに掛かっています。「この木のベースって作れますか。」Kさんにそう言われて面白そうだったので作ることになりました。しかも1本だけではなく同時作業で6本くらいは同じ加工てまで作れるので6本作ることに。自分で使う1本以外はKさんのご友人の手に・・・。何だか素敵なことです。
もう一つのナベ掛けはさらにシンプルな木の棒です。先がちょっと出っ張っていて底にフックを掛けられるようになっているだけのものです。可愛い。
見た目はどちらも可愛いのですが取付は大変。専務さんがつけたのですが、タイルの目地に下穴を開けてさらにちょっと踏め目のネジがタイルの間を通るように下穴をタイル用のドリルで広げてようやくネジを打つことができて。みんなでタイルが割れないかってドキドキでした。
さらに踏み台。
こちらは本当に質素な踏み台をコストを抑えて作ってほしいということで、素材は無垢材を使いましたが、ホゾ加工をしないで下穴をあけたところから全てネジで止める形にしてそのネジ穴を木栓をして埋めるという簡単な作りにしました。ちょっと重いですが、それがかえって安定するからってとても好評です。
それと、ペンダント。
これは以前私が自宅の為に作ったものと同じものです。Kさんは隅々までホームページを見ていてくださって、ページの片隅に載っているあのペンダントを見て「キッチンの照明にしたいので一つ作ってください。」と言うことになりました。
60Wのランプなのですが、明るすぎずとてもよい雰囲気なのです。
ところでこの4点は、ウォールナットではなくナラ材を使っています。コストのこともありますが、「素材にメリハリをつけたかったんです。」とKさんが言っていました。
あらゆるところにKさんの味が出ていてとても良いリフォームになったのではないでしょうか。
天板 | ステンレスヘアライン |
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扉・前板 | ブラックウォールナット突板練り付け |
本体外側 | 木目調オレフィンシート化粧板 |
本体内側 | ポリエステル化粧板 |
塗装 | ウレタン着色塗装仕上げ |
天板 | 人工大理石 デュポンコーリアン「グレイシアホワイト」 |
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本体外側 | 木目調オレフィンシート化粧板 |
塗装 | ウレタン着色塗装仕上げ |
扉・前板 | カラーフィットポリエステル化粧板「ホワイト」 |
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本体外側 | カラーフィットポリエステル化粧板「ホワイト」 |
本体内側 | カラーフィットポリエステル化粧板「ホワイト」/背板は布張り |
本体外側 | カラーフィットポリエステル化粧板「ホワイト」 |
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本体内側 | カラーフィットポリエステル化粧板「ホワイト」 |
キッチン、食器棚、本棚など一式
価格:2,380,000円(制作費、塗装費、設備機器は別途)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は60,000円から、取付施工費は200,000円から)
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