すきな柄
「チェリー柾目とウォールナット柾目のリビング壁面収納のオーダー」
品川 K様
design:Mさん
planning:daisuke imai
producer:yasukazu kanai
painting:yasukazu kanai
「普段あまりパソコンも調子が悪いから使わないし、携帯でもそれほどインターネットを使わないのよね。」と、Kさん。私たちのことをどこで知ってくださったのか、詳しく聞くのを忘れてしまったのですが、今度お引越しされるマンションには自分の思い描いた家具を作りたいって、ずっと考えていたのだそうです。
「それでね、イマイさん。私のすきな布があるの。」
と言って取り出して見せてくださったのが、「DESIGNERS GUILD」と書かれた本でした。
華やかな花柄やカラフルな色使いをした欧風なデザインの布が使われたインテリアが掲載されている本でした。
「ここに載っている布が大好きで、それからこの中にある家具の雰囲気もとても気に入っていて、このテイストでリビングの家具を実現させたいの。それで・・。」とKさんのお話は止まりません。(笑)
ひと通りの思いをお聞かせ頂いた後に、参考となるプランを持参されていたのでそちらを拝見させていただきました。
なるほど、かなり入り組んだデザインです。
「これはね、このマンションのモデルルームの家具の図面を参考までに見せて頂いたものなの。それでね・・。」とお話が続きます。(笑)
「・・そうですね。それじゃあ、この形を元に今のKさんのご要望を加えた形でプランを考えてみますね。」
「わぁ、うれしい。ありがとうございます。こういうのってどういう風に伝えてどこにお願いしたら良いのか分からなかったもので。」
形を一つにまとめることってなかなか難しいのです。
家具を作りたいってご相談に来られる方は、自分が何を必要としているのかがまだ漠然としていて・・、という方と、こういう形でこういう色で、と具体的に頭に思い描いている方とふたとおりの方がいらっしゃります。
Kさんは後者のほうで、いろいろな思いがすでにご自身の中にあって、それがどんどん溢れてくる。でも、どうまとめたら良いのかしら・・、という感じなのでした。
そこで、まずは聞いたご要望を全部並べて、その中から何か重要か、どうして自分にとって重要かをお聞きしては確認していきます。
そうすると、こっちが決まって、こっちが決まるとあっちも自ずとこの中から選ばなければいけない、と選択肢が一つの方向に向かっていきます。
その中で時々、
「・・・でね。あ、私、さっきもこの話ししましたね。」
と同じイメージを繰り返したりしながら、一つの形へ向かっていきます。
でも、その一つの形が大正解、というわけではなく、できあがってからも、「やっぱりここはこうしておいたほうが良かったかな。」というご意見を頂くこともあります。
「でも、ほぼ満足しているから、今後の参考までにお伝えしますね。」と、みなさん、あとからそう付け加えてくださいます。
お互い気持ちが通じあって、一つの形を目指したから、自然とこういう言葉を頂けるのかなとちょっと偉そうですが、そう思ってしまうのです。
とてもありがたいことです。
そして、その時に頂いたご意見は私たちの宝となり、今回のKさんとの打ち合わせのようにいろいろな選択肢が出てきた時の参考にさせて頂くのです。
そうして、できあがった原案をさらに頭を突き合わせて考えていきます。
3色の異なる色の木を使って、ベースの色を2台の家具で揃えて、差し色で他の木を使いたい(結局チェリーとブラックウォールナットの2種になりました。)とか、ここに張るセラミックとのバランスを見たり、木の天板や人工大理石や水晶石などの組み合わせを検討したり。
もともと、Kさんのお話好きとお話が飛んでぐるぐる巡ることもあって、なかなかまとめるのが大変でしたが、ようやく一つの方向にまとまりつつありました。
最後に、お引越し前にご自宅を一度拝見させて頂き、持って行って家具にしまいたい荷物を見させて頂いて、ご新居の内覧会の時も伺わせて頂きました。
「もうイマイさん、いや先生に細かい部分はお任せしますね。」と、なかなか緊張感のあるお言葉まで頂いたりして、焦ったりするわけです。
そのようなわけで、家具の設置場所の採寸、搬入経路の確認を終えたあとには、家具の背面に張るエコカラットという調湿機能があるタイルを施工するタイル屋さんと、そして家具の隣にくる鏡屋さんとも打ち合わせも行いまして、これでようやくリビングのイメージがまとまりました。
思えば、私が父に就いて仕事を学び始めた頃は、工務店さんや設計事務所さんから頂いた図面を元に急いで家具を作るだけの慌ただしい日々でした。
徐々に、お客様と直接お話する機会が増えて、今ではこうして家具だけではない部分も一緒に見てほしい、と言われたりして。
うれしいことなのですが、とても緊張する毎日であります。
こうしてプランはまとまりましたが、さて製作、設置は順調にいくかも大きな心配です。
今回は、いつものように引き渡し後の室内に合わせて家具を置くように設置するのではなく、モデルルームのような装飾要素の大きな家具たちを設置するのです。
Kさんのマイペースな印象とは反対に私たちはなかなか緊張した面持ちで施工を始めたのです。
すでに鏡屋さんは、鏡の施工を終えていて、それに注意しながら、繊細な水晶石を運んだり、一番大変な照明の配線の施工や、クロスで仕上がっているパイプスペースをチェリー材で加工作業など、時間は掛かりましたが順調に進みまして、そして予定通り2日間を掛けて、施工は完了。
このあと、タイル屋さんが施工に入って、さらにはデザイナーズギルドさんの壁紙が張られて完成の予定。
まずはホッと胸をなでおろしました。
そして、数週間後に全ての施工も終わってお引越しの荷物も片付いたということで、あらためてお邪魔させて頂きました。
「見て、イマイさん。この壁紙良いと思いませんか。このイメージをずっと思い描いていたのです。エコカラットの雰囲気もとてもよく家具と合っているし。とてもうれしい。」
「そうですね、ここまで来るのが大変でしたが(笑)、Kさんのイメージ通りになって本当に良かったです。」
「ありがとう、あとはここに別のファブリックが入れば本当の完成です。本当にありがとうございました。」
こちらこそありがとうございました。
チェリー柾目とウォールナット柾目のリビング壁面収納
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