暮らしをみつめてみました
「飾り棚のあるナラの食器棚のオーダー」
港南台 S様
design:Sさん
planning:daisuke imai
producer:masakane murakami
painting:masakane murakami
「先日ショールームに伺わせて頂きましたSと申します。宜しくお願い致します。
キッチンの背面収納とダイニングに作り付けのサイドボードを作りたいと考えております。
デザインなどはまだ漠然としていてるのですが、正直センスが良くなく、インテリアも気が付くとちぐはぐな感じになってしまいがちなので、全体的なデザインや木材の選択などのアイデアの提供をして頂けると嬉しいです。
今井さんのセンスを信頼しておりますので、メールなどやり取りしながらイメージを固めていきたいです。(面倒ですが宜しくお願いします)
ブログをザッと拝見させて頂いてデザインと雰囲気が良いなと思ったお宅は、「希望ヶ丘 Fさん」「東久留米のKさん」「瀬谷のUさん」「町田のYさん」のあたりになります。
今のところの希望は、
「キッチン」
・吊戸棚の下に飾り棚
・吊戸棚の下にLED照明
・背面カウンターは奥行をゆったり取りたい50㎝くらい?
・幅は180位で
「ダイニング」
・デザインは希望ヶ丘 Fさんの様に上部に引き出し下部に扉。扉の中に書類など収納できる引き出しを多く作って欲しい
木材はホワイトオーク・メープル・くるみなど気になります。赤味の強くない木材が好きです。
タモは良いのですが和に傾きやすいかなと思っています。北欧ぽいのは好きですが、サラッとし過ぎないようにもしたい。
癖のない感じでフシがあまり目立たない方が好みです。家の建具が全体的に白っぽいのとキッチンに窓が無くて、照明を常に付けている感じですので、明るい感じにはしたいです。
自宅の雰囲気が分かる画像やサイズなどまた追ってご連絡できたらと思います。
箇条書きですみません。まずはご連絡まで。」
Sさんは毎年私たちのショールームで年の暮れに開いている「クレミル」という展示会にいらしてくださったのでした。その時私は別のお客様がいらっしゃってちょうど打ち合わせをしておりましたので、妻がいろいろとお話を伺っていたのです。
その時の様子をあとから聞いて、それではまずはメールでご挨拶をということで、メールのやり取りが始まったのでした。
そして、まずはお部屋を拝見させて頂きながら、教えて頂いているご要望とうまく合うように形を考えましょう、ということになりまして、まずはお伺いさせて頂いたのでした。
「正直センスがなく・・」と書かれていたSさんでしたが、そんなことはありません。どちらかというと、そのセンスをぶつけられて困ってしまうほど・・(笑)
まずはお部屋を見て、どのくらいの大きさの食器棚を考えていらっしゃるかをお聞きして、どんな使い方をしたいかというご要望をお聞きして、原案となる形を考えていきます。
その原案をもとにお話を重ねていくのですが、一つの形が見えてくると、そこから何か自分が必要かが見えてきます。
この家具がこの形だったら、私はどいういうふうにここで過ごすだろう。
ここがもっとこうなっていたら、より使いやすく、過ごしやすいかも。
家具を作ることは暮らしを見つめることです。
そうしてSさんのメール相談がここから始まりました。
「頂いた原案から少し内容を変えてこういう方法だと、こういうデザインだとどんな感じになるか」というご相談がドンドン飛んできます。
「それなら、こういう方法に、こういうデザインになります。でもそうなると、こう見えたり、こういう方法もあります。」と私もドンドンとお返事します。
その内容に、どちらかというと私がSさんのセンスを頂いて勉強になるくらいでした。
「もともと優柔不断なの ですが、イマイさんの施工例を色々見ては、どれも良く思えてしまい、なかなかデザインを決めきれずご迷惑をお掛けします。
のんびりと決めて気に入ったもの取り付けたいと思っていますので、お付き合い頂けたらと思います。
メールの返事は急ぎませんので宜しくお願い致します。」
と言ってくださるのですがのんびり進めていると、私の頭の中も限られているので忘れちゃうといけない。
自分の中でひと区切りつくまでは、メールでドンドンを繰り返します。
まずは、Sの思いがたくさん詰まっている食器棚を先に作らせてもらい、あとは(写真を撮り忘れたのですが)トイレの手洗い台も白い無機質な扉から同じナラ材を使った扉に変えるという依頼を頂いて、ダイニングのサイドボードは、新しいキッチンになって暮らしがひと段落したら、ゆっくり考えます、ということになりました。
うん、そのほうが良いです。
Sさんのことですから、きっといろいろなイメージをお持ちだと思いますので。
そうして、製作の取り掛かれる準備が出来たのですが、ちょうどその頃、他のお客様の家具製作でかなり立て込んでしまっていたので、製作に取り掛かれるのがそれから1か月くらい先に。
そうして、ようやく完成したのが、その1か月後。
半年以上掛けて、ひとつのイメージが形になりました。
これでひと安心です。次回またお声掛け頂けるのを楽しみにしております。
アイアンハンドルのあるナラの食器棚
価格:640,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は15,000円から、取付施工費は30,000円から)