私のアトリエ、まずはキッチン
「シナとバスウッドとステンレスバイブレーションのオーダーキッチン」
海老名 イマイ邸
design:akiko/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:iku nogami
painting:iku nogami
自宅の様子をご紹介しましょう。
そもそも海老名の駅前が少しにぎやかになってきたのがきっかけで、家を建てることをおぼろげに考え始めたのでした。
具体的に言うと1年前の今日は家作りを考えていたかというと全く考えていなかったのに。
だって、私の住むマンションからは心地良く相模線の通り過ぎる音が鳴り響くし、夜なんて北側のバルコニ―から線路を見ると電車が行くさまが美しくて気持ちが良かったものです。
子供たちが生まれた頃は、夜泣きをするとこの北のバルコニーでしばらく抱っこしていると泣き止んだものでした。
駅よりも学校が近いからってことで選んだこの場所は大好きだったし、思い出も友人もたくさんあふれるすてきな場所でしたが、その年の年末に手にした本に書かれていたことと載っていた写真を見て、もう気持ちが移ろいでしまったのでございます。
そこは少し古い昭和の住宅というのでしょうか、前川國男さんの自邸のような木が燻された香りがするような、古びているけれどこんもり温かそうな家から出て、明るい生垣の中で小さなテーブルにクロスを掛けて、家族3人でご飯を食べている写真とその様子が記事にされていた本を手にしたのでした。
どんな本か知りたい方はうちへいらっしゃい。
もともと、私は草花に興味なんてほとんどなかったのですが、だんだんとね、年を重ねたからなのか、小さな白い花や黄色い花が路傍のそこかしこで健気だがたくましく咲いている様子を見るとうれしくなるのでした。
だから、周りから見ると酔狂のように思えるくらい、電車を降りてから1時間もかけてクライアントさんのところまで歩いて出掛けることもあったりするのは、そういう路傍のそこかしこでたくましく咲く姿を見たいからでもありました。
また近頃、夢を見るのです。ここにも書いたように。
ゆきどまりの庭は緑が鮮やかです。
淡い緑から少しずつ深みを増して、向こうのほうではこんもりと茂って遠くが見渡せないくらい。
ここには誰も居りません。
温かな春の午後のような陽射しがあたりにスゥッと広がっていて、目をとじるとふわりと毛布が私を包むようです。
チョウは飛んでおりました。テントウムシも後ろからやってきて向こうへフーッと行き過ぎていきます。
でも他には誰もいない。
ネコも居ないし、友人も来ていない。
そもそも入り口がありませんもの。
でもね、ここでキシキシ音がする少しささくれた椅子に座って黙って目をつむってあたたかな紅茶を飲んでいると、こそこそします。
風の音かしら。
こっそりと気配があります。
まるで、みんなが真夏の午後の気だるい空気から一歩退いて涼しい木陰で休んでおしゃべりしているように、姿はないし声もないのですがこそこそとそこかしこでみんなが生き生きとしている様子が分かります。
みんながみんな楽しそうに暖かそうにおしゃべりしている様子が目をつむると、浮かんできます。
おや、今あちらの片隅ですらっとした人が通り過ぎましたか。
誰も居ないのにみんなが居てくれて温かいから、淋しくないし、気分よく私もここでお茶を飲んでいます。
そういう夢でしょうか。
これがね、幾度か私の夢に現れてくるのです。
たしかまだ学生時代から抜け出して間もない頃に伊豆の松崎あたりに行った時にこういう場所を見たような気がしているのですが、別にお茶なんて飲んだ覚えもないし、日差しを遮る場所もなかったから、なんだかとても静かで暑いところだったなあ、という印象がわずかに残っているのですが、それが本当かどうかはもう定かではありません。
でもこの場所が出てくる夢を見て起きるたびに、「ああ、ここにもう少し居たかったなあ。」と名残惜しみながら布団から起きたものでした。
でも、この心象ってずっと残っていて、誰もいないのにみんながふんわりいる感じがして、いつまでも温かい様子があって。
その本を読んだ時にね、その夢を思い出したのです。
そうしたらもう、すっかり家を作ることを決めてしまっていて、アキコはなぜか問いただすことも否定することもなく、「いいんじゃないかな。」と言ってくれたし、ハルとチィは、学校が変わらないならいいよ、と冒険気分。
そうなるとね、早いのですよ、なぜだか。
アキコのお父さん、お母さんにもっとゆっくり時間をかけたほうがいいんじゃないと言われるくらい、せかせかしてしまいまして、思い立って2か月くらいで良いかなと思える土地が見つかったのです。
今思うと、ここに来るべくしてきたのかなとも思えて、お向かいさんもお隣さんも偶然にも学校での友人(子供たちがというより私とアキコが)だったのです。
旗竿地で陽も大きくは差さないけれど、いいねって思えたのです。
それで、家作りはずっと思っていた福原さんにお願いして(23年越しの夢がかないました)、土地の良しあしをいろいろ相談して、家族みんなで、うんとうなずいたのでした。
そうして、みんなで草刈って、みんなで神様にご挨拶して、みんなで家建てて、気持ちの良い家ができあがったのでした。
おもしろいこと
4月9日 家作りに早くも暗雲立ち込めていたのですが、見事に解決してくれたヒーローが現れたのでした。
詳しいことを知りたい方はうちにいらっしゃい。
くらす
4月12日 今の暮らしを手放す決意をしたのでした。
やくそくしてたこと
5月20日 福原さんが模型を見せてくれました。
はじまり
9月23日 やっとプランが大きく固まって、地鎮祭が間もなくです。自分はもう緑の水玉のイタリアのおじさんのような印象です。
雨も上がって
9月27日 家具屋として建築の世界の端っこに身を置いているつもりでしたけれど、こういう神事は全く分からなくてまごまごしてしまいましたが、神様には良い風が吹きますように、よろしくお願い致します。というご挨拶はきちんとできました。
配筋
11月4日 家ってこうしてできていくのだなあというまだ漠然とした気持ちとともにここに居た生き物たちどこ行ったのかなあという漠然とした気持ちとともに。
上棟
11月29日 いよいよ棟が上がります。朝からかけやを打つコーンコーンという音がご近所にも鳴り響いて、すっかり暗くなる頃に無事上棟。屋根の複雑さが大変さを物語っておりました。
気持ちが揺り動かされる
12月28日 まもなく大晦日を迎える頃なのに現場に出てくださっているのは福原さんの設計の複雑さゆえなのか。
キッチン収納の形を考える
1月27日 家の間取りがだんだんと見え始めてきた頃、アキコも動き出すのでした。
心地のよさ
2月5日 アキコとチィは時間を作っては足繁く現場に通ってくれて、いろんな進捗を知らせてくれました。
シナとバスウッドの背面収納
2月8日 家具も少しずつ形になり始めています。
シナとバスウッドのペニンシュラキッチン
2月12日 キッチンも姿を現しました。
お家づくりの始まり
2月17日 アキコもこの頃家作りの日記をつけようかなって言っていましたね。
区域外通学
3月1日 家のできあがりが遅いわけではなく、私たちの読みも浅はかだったわけではないと思うのですが、いろんなアクシデントが家を建てる前に起こったりして、私たちはこうしてしばらくの間、宿無しとなったのでございます。
桃の節句
3月3日 で、結局ジィジとバァバの家に居候。
次女チィの退院
3月16日 すると、まもなくしてアキコが夜中の救急外来に掛かって(アキコもそういう年齢になってきたのでした。)、その翌日には自覚症状があまりないままチアキの体調がとても良くないことが分かり、すぐに入院。みんな慣れない暮らしで疲れてしまったのか、お父さんとお母さんには迷惑かけっぱなしです。
質素に
4月9日 新学期が始まっても子供たちは電車通学。そろそろ慣れてきちゃったね。家具工事も始まりました。
同居
4月14日 なんだかんだと居心地良くさせてもらっていて、甘えっぱなしの今井家。
バスウッドのキッチンと背面収納
4月18日 いよいよキッチンの設置工事も始まりました。
こつこつと
5月1日 ゴールデンウィーク前の完成を目指していたのですが、なかなかどうして福原さんの形がやっぱり複雑なようで、連休中も作業してくださる皆さんには頭が上がりません。
へぇって感じ
5月7日 無事に連休明けに工事が一通り終わったところに現場にお邪魔させて頂きました。まだね、全然自分の家じゃなくてもお客様の家に来ている感じ。ふわふわしちゃう。
いよいよはじまり
5月19日 こうしてあたらしい家での暮らしが始まりました。
オーダーキッチン
5月28日 まずは、私たちのキッチンをようやくご紹介できますね。なにしろ、今までの皆さんの意見の集大成ですから、きっとあっと驚く形なのでしょう、と思われるのですが、拍子抜けするくらいシンプルな形になりました。
いくつかご紹介いたしますね。
でも、すてきな家はできたのですが、肝心な庭はまだこれからなのです。そのお話はいつかどこかで。
その前にお庭を見たかったら、うちにいらっしゃい。
今回こうして自分たちのキッチンを作ってみたわけですが、やはり作業面が広いというのはとても心地よいものです。我が家は娘が二人いるので二人とも料理にはとても興味があるからか4人でキッチンに立つことも多いのです。私をはじめとして家族みんな体が大きいので、広いスペースというのは本当に気持ちが良い。また、「料理の支度の時は開けっぱなしにしておける引き戸は使いやすいよ。」ということを福原さんにあらためて教わったのですが、それがたいへん実感できました。開き扉だと一度止まってしまう動作でも引き戸は動線がスムーズなのです。閉めた時のすっきりした印象がない、という意見もありますが、使うことにストレスを感じないのはとても心地良いことです。
ペニンシュラキッチンというのは油煙が分散するのではないかというお話を頂いていたことがありますが、今回アリアフィーナのレンジフードを入れたのですが、これがかなりの勢いでくるくる回ってくれて、夜だと音が気になるくらいの勢いです。
また、私たちは背が高いことと、キッチンの天井高さが2300ミリとこじんまりする空間設計でしたので、レンジフードは特注の高さでアリアフィーナさんに用意してもらいました。
コンロ周りのタイルはどう汚れるのかという部分については、先日メンチカツを作っていたら油がポンポンはねたのですが、今のところまだ気にならないです。
キッチンをオーダーで作るという考えが定着し始めてきていますが、その良さがもっと分かってもらえたらうれしいなあと思うのです。
特に便利な機能があるわけでもなく、きらびやかな衣装というわけでもないのですが、自分の暮らし方にフィットした家具がそばにあるのは本当に心地良いものです。
天板 | ステンレスバイブレーション |
---|---|
扉・前板 | シナ無垢材・バスウッド無垢材 |
本体外側 | シナ無垢材・バスウッド無垢材/シナ合板 |
本体内側 | シナ合板 |
塗装 | オイル塗装仕上げ |
シナとバスウッドのペニンシュラキッチン
価格:1,250,000円(制作費・塗装費、設備機器費用は別)
シナとバスウッドのバックカウンター
価格:800,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は50,000円から、取付施工費は150,000円から)
ご注文・お問い合わせをご検討中のかた
ちょっと関わりのありそうな家具たち
-
2018.01.23オーダーキッチン
さくらひらひら
「タモ材とマットホワイト化粧板とコーリア…
-
2014.10.16オーダーキッチン
Kona Salonの最初のアトリエ作り
「ブラックウォールナットとステンレスヘア…
-
2019.07.23オーダーキッチン
北の魔女に会いに行く
「チェリー板目材とステンレスバイブレーシ…