私のアトリエ、まずはキッチン

「シナとバスウッドとステンレスバイブレーションのオーダーキッチン」

海老名 イマイ邸

design:akiko/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:iku nogami
painting:iku nogami

シナとバスウッドを使ったペニンシュラ型オーダーキッチン

キッチン全体の様子。玄関からリビングに入る建具はスプルース。キッチンはシナとバスウッド。ダイニングテーブルとチェアはクリ。床は赤松という組み合わせ、とても好きな感じになりました。

シナとバスウッドのペニンシュラ型オーダーキッチン

玄関から「ただいま!」と左から入ってきてすぐにキッチンに向かえる間取り。そのまま突っ切ってお風呂場にも行けちゃう。この動線は好きです。チィにすごいスピードで動いてもらいました。皆さんからよく聞かれるのが、ガスコンロやIHヒーターの奥に油が跳ねないようにガードしないで大丈夫なのでしょうか。と言われることが多くて、やっぱり跳ねることは跳ねますが、すぐに拭けばよいと思えるし、ガラスの衝立を立てちゃうのは少し印象が変わってしまうので、ってよくお話していたのですが、アキコがこういうシンプルなスチールの衝立を探してきました。これなら不要な時はたためて、立てて置いてもこの質素な感じはなかなか好きです。

自宅の様子をご紹介しましょう。
そもそも海老名の駅前が少しにぎやかになってきたのがきっかけで、家を建てることをおぼろげに考え始めたのでした。
具体的に言うと1年前の今日は家作りを考えていたかというと全く考えていなかったのに。
だって、私の住むマンションからは心地良く相模線の通り過ぎる音が鳴り響くし、夜なんて北側のバルコニ―から線路を見ると電車が行くさまが美しくて気持ちが良かったものです。
子供たちが生まれた頃は、夜泣きをするとこの北のバルコニーでしばらく抱っこしていると泣き止んだものでした。
駅よりも学校が近いからってことで選んだこの場所は大好きだったし、思い出も友人もたくさんあふれるすてきな場所でしたが、その年の年末に手にした本に書かれていたことと載っていた写真を見て、もう気持ちが移ろいでしまったのでございます。

引き出し式の食器棚の使い勝手

奥が玄関。写真を撮っている私は洗面所。この通り道、ワークスペースの広さをどうしようかと迷いました。私は182センチ、アキコは172センチ、ハルもチィも同級生の中では大きいほう。以前は皆さんとお話する時には、料理はもっぱら奥様だけで、というご家庭も多かったので85センチのワークスペースの幅があればよいかな、というお話をよくしておりましたが、最近はご家族皆さんでキッチンに立たれる家庭も多いので、90センチ以上でお話しすることが多いです。ちなみに我が家な100センチ。

そこは少し古い昭和の住宅というのでしょうか、前川國男さんの自邸のような木が燻された香りがするような、古びているけれどこんもり温かそうな家から出て、明るい生垣の中で小さなテーブルにクロスを掛けて、家族3人でご飯を食べている写真とその様子が記事にされていた本を手にしたのでした。
どんな本か知りたい方はうちへいらっしゃい。
もともと、私は草花に興味なんてほとんどなかったのですが、だんだんとね、年を重ねたからなのか、小さな白い花や黄色い花が路傍のそこかしこで健気だがたくましく咲いている様子を見るとうれしくなるのでした。
だから、周りから見ると酔狂のように思えるくらい、電車を降りてから1時間もかけてクライアントさんのところまで歩いて出掛けることもあったりするのは、そういう路傍のそこかしこでたくましく咲く姿を見たいからでもありました。

また近頃、夢を見るのです。ここにも書いたように。

ゆきどまりの庭

ゆきどまりの庭は緑が鮮やかです。
淡い緑から少しずつ深みを増して、向こうのほうではこんもりと茂って遠くが見渡せないくらい。
ここには誰も居りません。
温かな春の午後のような陽射しがあたりにスゥッと広がっていて、目をとじるとふわりと毛布が私を包むようです。
チョウは飛んでおりました。テントウムシも後ろからやってきて向こうへフーッと行き過ぎていきます。
でも他には誰もいない。
ネコも居ないし、友人も来ていない。
そもそも入り口がありませんもの。
でもね、ここでキシキシ音がする少しささくれた椅子に座って黙って目をつむってあたたかな紅茶を飲んでいると、こそこそします。
風の音かしら。
こっそりと気配があります。
まるで、みんなが真夏の午後の気だるい空気から一歩退いて涼しい木陰で休んでおしゃべりしているように、姿はないし声もないのですがこそこそとそこかしこでみんなが生き生きとしている様子が分かります。
みんながみんな楽しそうに暖かそうにおしゃべりしている様子が目をつむると、浮かんできます。
おや、今あちらの片隅ですらっとした人が通り過ぎましたか。

誰も居ないのにみんなが居てくれて温かいから、淋しくないし、気分よく私もここでお茶を飲んでいます。

そういう夢でしょうか。

クリ材とアイアンを使ったラウンドテーブル

クリの円卓とクリのダイニングチェア。円卓の脚は、アルミに近い印象にしたくて、オヌマさんに不思議なツヤの塗装で仕上げてもらいました。座張りはフジタケさんにお願いして、前後は丸張りで左右はマチを取ってというフジタケさんの提案でモダンな印象に仕上がっています。ダイニングのペンダントは大好きなflameさんのホーローでできたbasque。

これがね、幾度か私の夢に現れてくるのです。
たしかまだ学生時代から抜け出して間もない頃に伊豆の松崎あたりに行った時にこういう場所を見たような気がしているのですが、別にお茶なんて飲んだ覚えもないし、日差しを遮る場所もなかったから、なんだかとても静かで暑いところだったなあ、という印象がわずかに残っているのですが、それが本当かどうかはもう定かではありません。
でもこの場所が出てくる夢を見て起きるたびに、「ああ、ここにもう少し居たかったなあ。」と名残惜しみながら布団から起きたものでした。
でも、この心象ってずっと残っていて、誰もいないのにみんながふんわりいる感じがして、いつまでも温かい様子があって。
その本を読んだ時にね、その夢を思い出したのです。
そうしたらもう、すっかり家を作ることを決めてしまっていて、アキコはなぜか問いただすことも否定することもなく、「いいんじゃないかな。」と言ってくれたし、ハルとチィは、学校が変わらないならいいよ、と冒険気分。

そうなるとね、早いのですよ、なぜだか。
アキコのお父さん、お母さんにもっとゆっくり時間をかけたほうがいいんじゃないと言われるくらい、せかせかしてしまいまして、思い立って2か月くらいで良いかなと思える土地が見つかったのです。
今思うと、ここに来るべくしてきたのかなとも思えて、お向かいさんもお隣さんも偶然にも学校での友人(子供たちがというより私とアキコが)だったのです。
旗竿地で陽も大きくは差さないけれど、いいねって思えたのです。
それで、家作りはずっと思っていた福原さんにお願いして(23年越しの夢がかないました)、土地の良しあしをいろいろ相談して、家族みんなで、うんとうなずいたのでした。
そうして、みんなで草刈って、みんなで神様にご挨拶して、みんなで家建てて、気持ちの良い家ができあがったのでした。

おもしろいこと
4月9日 家作りに早くも暗雲立ち込めていたのですが、見事に解決してくれたヒーローが現れたのでした。
詳しいことを知りたい方はうちにいらっしゃい。

くらす
4月12日 今の暮らしを手放す決意をしたのでした。

やくそくしてたこと
5月20日 福原さんが模型を見せてくれました。

はじまり
9月23日 やっとプランが大きく固まって、地鎮祭が間もなくです。自分はもう緑の水玉のイタリアのおじさんのような印象です。

雨も上がって
9月27日 家具屋として建築の世界の端っこに身を置いているつもりでしたけれど、こういう神事は全く分からなくてまごまごしてしまいましたが、神様には良い風が吹きますように、よろしくお願い致します。というご挨拶はきちんとできました。

配筋
11月4日 家ってこうしてできていくのだなあというまだ漠然とした気持ちとともにここに居た生き物たちどこ行ったのかなあという漠然とした気持ちとともに。

上棟
11月29日 いよいよ棟が上がります。朝からかけやを打つコーンコーンという音がご近所にも鳴り響いて、すっかり暗くなる頃に無事上棟。屋根の複雑さが大変さを物語っておりました。

気持ちが揺り動かされる
12月28日 まもなく大晦日を迎える頃なのに現場に出てくださっているのは福原さんの設計の複雑さゆえなのか。

キッチン収納の形を考える
1月27日 家の間取りがだんだんと見え始めてきた頃、アキコも動き出すのでした。

心地のよさ
2月5日 アキコとチィは時間を作っては足繁く現場に通ってくれて、いろんな進捗を知らせてくれました。

シナとバスウッドの背面収納
2月8日 家具も少しずつ形になり始めています。

シナとバスウッドのペニンシュラキッチン
2月12日 キッチンも姿を現しました。

お家づくりの始まり
2月17日 アキコもこの頃家作りの日記をつけようかなって言っていましたね。

区域外通学
3月1日 家のできあがりが遅いわけではなく、私たちの読みも浅はかだったわけではないと思うのですが、いろんなアクシデントが家を建てる前に起こったりして、私たちはこうしてしばらくの間、宿無しとなったのでございます。

桃の節句
3月3日 で、結局ジィジとバァバの家に居候。

次女チィの退院
3月16日 すると、まもなくしてアキコが夜中の救急外来に掛かって(アキコもそういう年齢になってきたのでした。)、その翌日には自覚症状があまりないままチアキの体調がとても良くないことが分かり、すぐに入院。みんな慣れない暮らしで疲れてしまったのか、お父さんとお母さんには迷惑かけっぱなしです。

質素に
4月9日 新学期が始まっても子供たちは電車通学。そろそろ慣れてきちゃったね。家具工事も始まりました。

同居
4月14日 なんだかんだと居心地良くさせてもらっていて、甘えっぱなしの今井家。

バスウッドのキッチンと背面収納
4月18日 いよいよキッチンの設置工事も始まりました。

こつこつと
5月1日 ゴールデンウィーク前の完成を目指していたのですが、なかなかどうして福原さんの形がやっぱり複雑なようで、連休中も作業してくださる皆さんには頭が上がりません。

へぇって感じ
5月7日 無事に連休明けに工事が一通り終わったところに現場にお邪魔させて頂きました。まだね、全然自分の家じゃなくてもお客様の家に来ている感じ。ふわふわしちゃう。

いよいよはじまり
5月19日 こうしてあたらしい家での暮らしが始まりました。

オーダーキッチン
5月28日 まずは、私たちのキッチンをようやくご紹介できますね。なにしろ、今までの皆さんの意見の集大成ですから、きっとあっと驚く形なのでしょう、と思われるのですが、拍子抜けするくらいシンプルな形になりました。
いくつかご紹介いたしますね。

でも、すてきな家はできたのですが、肝心な庭はまだこれからなのです。そのお話はいつかどこかで。
その前にお庭を見たかったら、うちにいらっしゃい。

シナとバスウッドのペニンシュラ型オーダーキッチン

キッチン全景。構造上抜けなかった柱は米松の丸柱にして、色が変わっていくのが楽しみです。キッチンに使った材は、明るい鏡板はシナの無垢材、赤身の強い框部分は主にバスウッド(アメリカのシナ)を使っています。レンジフードはアリアフィーナのサイドフェデリカで天井高さが2300ミリと低いので特注サイズで対応しました。

シナとバスウッドのペニンシュラ型オーダーキッチン

ダイニングの長い持ち出しのブラケットの明かりが灯るとこのような感じ。福原さんのオリジナルで真鍮で作って頂きました。壁内に照明用のケーブルを通しておいて、真鍮のパイプ内を通して電球に接続しています。電球はシンプル乳白色のLED電球。とても美しいのです。

キッチンシンクはシンプルなスクエアタイプ。水栓はトクラスの浄水器一体水栓

シンクはシンプルな形状。本当は洗剤ポケットが欲しかったというアキコ。どうしてつけなかったのかは、お会いしたらお話ししましょう。水栓はトクラスの浄水器一体型水栓で水栓の形状はKVKのシンプルな水栓。どうしてこれにしたかというと、グースネックのものよりも低めで、シャワーがしっかりしたシャワーだったこと。あとはちょっとぼてっとしたデザインにしたかったのでこの形にしたのです。

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私もアキコも食器洗浄機はあまり好きではなくて、洗い物はきちんと自分たちで洗いたいって思う意地のようなところがありまして、その代わり引き出しは広く採れました。代わりに洗い物をしっかり置けるように水切りかごはハナウタシリーズのディッシュドレイナーにしています。

JIMBOのソフトグレーのコンセント

シンクの前には1口コンセント。JIMBOのNKシリーズのソフトグレーをつけています。このNKシリーズはいくつかの色があって楽しいのですが、いつも色を決めるのにお客さんとも迷うのです。白はそつなくきれいなのですが、最近はグレーの柔らかい印象が好きになってきました。

ケユカのアロッツ

ゴミ箱はケユカのアロッツを使っています。やはりこのスペースで全開してくれるのは使いやすいのです。が、ちょっとごみを捨てたい時に手で開けられない、手で開ける隙間がないのがちょっと残念。(爪も入りにくいくらい)ゴミ箱の目の前にごみば落ちちゃっても足できちんと踏まないと開かない生真面目さが良いところでもあります。

かなぐやさんの特注タオルバー

タオルバーはかなぐやさんに特注で長さ30センチのものを作って頂いております。「この長さ以上だと強度的に不安な部分があります。」と太田さんはいつも丁寧に物づくりに取り組んでくださっていてひとつずつの言葉がとてもうれしい。

かなぐやさんの六角真鍮取っ手

ハンドルはタオルバーと同じく真鍮六角棒コの字です。最初にこの形を見たのは見本市でした。太田さんが一人でブースに立たれていて、不思議な魅力があって、それからはもうトリコです。手作りですからひとつひとつの製作金額は普通のハンドルよりも高くなってしまうのですが、作って頂く価値は使っていると分かります。この形はいつ見ても美しく、だんだんと自分たちの色になっていきます。

スギ材とマツ材で作った木製カトラリーケース

キッチン1段目の引き出しの様子。大きな引き出しには、アキコのリクエストでカトラリーケースを作ってみました。このケースの材は、あまった床材で、右の大きめの3つはここの床材の赤松。左の4つは工房に余っていたスギの床材を薄く削って作りました。なるべく簡素に作ろうと思いまして、板の端を留にして箱型に組んだ後に木釘を打っただけのシンプルな作りです。

マツ材の包丁収納ケース

包丁差しもこのような感じで作ってみました。刃が差し込まれる部分は、マツではなくスギで。その方が刃のあたりが優しいことと、湿気にも強いかなと思いまして。

スタッキングできるカトラリーケース

念のため、引き出しの中だけで使うのではなく、常備しているカトラリーをそのまま食卓に持ち出せるように、そして積み重ねられるような工夫をしてみました。スギで作ったほうは取り外しができる仕切り板を入れています。

シナ材とソフトクローズレールを使ったキッチンの引き出し

キッチン引き出し2段目の様子。塩、砂糖、胡椒はなぜかここ。ここが一番使いやすいのよ、とアキコ。キッチンペーパーは後ほど届くかなぐやさんのホルダーに通すまではここに置いておきましょう。

オーダーキッチンは引き出しの深さが自由に作れます

キッチン3段目の引き出し。よく使う乾物類はここにしまってあります。

ナベ専用のソフトクローズレールを使った大型の引き出し

キッチン4段目の引き出しの様子。深めのナベ類をここにしまっています。あと、シナ合板無塗装の引き出しなので、傷や汚れがつきやすいため、藍色のすべり止めシートを下に敷いています。

ガスコンロにプラスドゥを使うオーダーキッチンが増えています

ガスコンロはノーリツ(ハーマン)のプラスドゥ。このコンロに決めたのは、以前の住まいのコンロは五徳が全面についていてとても使いやすかったので、今回もその五徳の広さを重視して、それとシンプルなデザインとで決めています。ほかのコンロもオプションで五徳を追加できるので、最初はグリルが使いやすそうなプログレにしようかと思っていたのですが、もっとガシガシ使えそうなこちらに最終的に決まったのです。

佐久間陶子さんの炊飯土鍋

家事で大きく変わったのは、炊飯器を使わない暮らしになったこと。もちろん手元にはおいてあるのですが、普段は土鍋で炊くことに。土鍋で炊くことを思いとどまっていたのは保温ができないことで、翌々考えたら蒸し器を使えば美味しく食べられると分かって、さっそく土鍋を活用することにしたのです。

プラスドゥは五徳が広いので使いやすい

普段スチールのディバイダ―をしていないとこの感じ。

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ガスコンロの下はワイヤーシェルフ。3枚設置しています。

スライドワイヤーシェルフにボウルを重ねて収納

1枚目はまな板とざる、ボウル。

スライドワイヤーシェルフにフライパンを収納

2枚目はうすいパン類。ちなみに右下の銀色のものは葉山のクックダインさんで教えて頂いたミートプレス。お肉がカリッと焼けるのです。

スライドワイヤーシェルフの下段にはスキレットなどの重い鍋を収納

うちは、重い鉄鍋が何枚かありまして、それをこのあたりに収納しています。

キッチンツール収納用の細長い引き出し

右端最上段の細い引き出しには、おたま、フライ返し、泡だて器などの調理道具たちを入れています。

ガスコンロ横の調味料用の引き出し

2段目は小さな調味料たち。この引き出しはソフトクローズレールを使っているのですが、この幅が狭い引き出しに使うスライドレールは最初の引きがちょっと重いのです。どのくらいの力加減になるのかは、ぜひ試しに来てください。重いからこの部分だけ普通のスライドレールにされるというご意見も増えてきておりますので。

ガスコンロ横に油などのボトル用の引き出し

一番下はボトル用の引き出し。

かなぐやさんのすな目つまみ

リビング側の扉には、かなぐやさんのすな目つまみ。残念ながらこのデザインはもう廃番になってしまいましたがとてもきれいな表情です。

キッチンのリビング側収納部の様子

リビング側の収納内部の様子。アキコの意見で、収納の背板を薄いグレーにしているのがこちら側の特長。

キッチンのリビング側収納部の様子

リビング側の収納内部の様子。今回食器洗浄機をつけなかったこともあって、キッチンの奥行を比較的自由に設定できました。そこで、A4サイズの本が入れられる奥行きの深いスペースと、もっと小さなものを入れる奥行の浅いスペースとしまうものによって場所を選べるようにしました。

シナとバスウッドを使ったキッチン背面収納

キッチン背面の収納です。主に食器棚として使用しています。福原さんと相談してなるほどと思ったのが奥行。福原さんは冷蔵庫だけがどんと出てしまう姿があまり美しくないからと言っていて、そういうものかなあと漠然と思っていたのですが、その見た感じの印象も大切でしたが、このシナのカウンターの奥行の深いところが実に使いやすいことに今気が付きました。一般的には45センチの奥行にすることが多い食器棚も、余裕があるなら60センチくらいとっても良いかなと思います。もちろん、その分リビング側が狭くなるのですが、それよりもキッチンがゆったりしているほうが私達にはあっていることに今さら気がついたのです。

シナとバスウッドを使ったキッチン背面収納

全体の印象はこのような感じ。まだどのように使おうか思案中の冷蔵庫の上のスペースがあったり、なかなか楽しいかたちになりました。冷蔵庫は、以前の住まいでもそうでしたが無印良品のものにしています。どうもピカピカした冷蔵庫が苦手でして。

框組引き戸のある食器吊戸棚

吊戸棚は福原さんのキッチンを作らせて頂いた時にその良さがあらためて分かった引き戸です。特にレールは付けないで、戸の下に戸車をつけただけのシンプルな引き戸です。

引き戸のある食器吊戸棚

この吊戸棚の背板もリビングからよく見えるのでキッチンのリビング側収納と同じくライトグレーの背板にしています。

ナラとステンレスで作ったカトラリーケース

カトラリーケース[punkt]。まだ初期の試作の頃のデザインのものをここで使用しています。樹種はナラですが、シナの明るい印象とはよく合っています。

ナラとステンレスで作ったカトラリーケース

日常使う4人分の箸たちは、ふだん引き出しにしまわないでここにしまっております。

背面収納のソフトクローズレールを使った引き出しの様子

食器棚の引き出しの様子。私たちの好きな飯高幸作さんや山本芳子さんのカップたち。

背面収納のソフトクローズレールを使った引き出しの様子

食器棚の引き出しの様子。ここはガラスの器たち。

背面収納のソフトクローズレールを使った引き出しの様子

食器棚の引き出しの様子。うすいお皿たち。

背面収納のソフトクローズレールを使った引き出しの様子

食器棚の引き出しの様子。一番下は、布巾となぜかパン。

背面収納のソフトクローズレールを使った引き出しの様子

食器棚の引き出しの様子。左の列の一番上の引き出しはお茶碗と汁椀と小皿たち。

背面収納のソフトクローズレールを使った引き出しの様子

食器棚の引き出しの様子。うすいお皿やボウルたち。

背面収納のソフトクローズレールを使った引き出しの様子

食器棚の引き出しの様子。うすいお皿や深めの丸皿。

背面収納のソフトクローズレールを使った引き出しの様子

食器棚の引き出しの様子。どんぶりのような深いお椀たち。

ステンレスを張った鍋をしまう棚板

引き出しの列の左側は、土鍋と炊飯器をしまうスペース。使う時は上に載せて使うので、ここはしまうだけのスペース。そして、毎回鍋たちを引きずるので、棚板はステンレスを張りました。

米びつとトレイを収納するスペースを高さに合わせて製作

棚板の上には、鍋敷きやバットなどのうすいものが置かれて、一番下は水筒と米びつ。

食品庫はシンプルに可動棚のみ

さらにその左はパントリー代わりの戸棚。以前の住まいでも同じレイアウトだったのですが、以前の暮らしでは食器棚を持っていなかったのです。それで、このような大きなスペースに食器を入れていたのですが、やはり使いにくい部分がありました。今回この家に来るにあたって食器棚はきちんと作ると考えていたので、その代わりにこの背の高い戸棚にはストックの食品や瓶や缶などをどんどんしまえるスペースにすることができました。

レンジの天板をしまうスペース

その戸棚の中の一部。可動棚をうまく使って、狭いスペースを作って場所を取るレンジ用の天板やランチョンマットなどをしまうスペースを作りました。

今回こうして自分たちのキッチンを作ってみたわけですが、やはり作業面が広いというのはとても心地よいものです。我が家は娘が二人いるので二人とも料理にはとても興味があるからか4人でキッチンに立つことも多いのです。私をはじめとして家族みんな体が大きいので、広いスペースというのは本当に気持ちが良い。また、「料理の支度の時は開けっぱなしにしておける引き戸は使いやすいよ。」ということを福原さんにあらためて教わったのですが、それがたいへん実感できました。開き扉だと一度止まってしまう動作でも引き戸は動線がスムーズなのです。閉めた時のすっきりした印象がない、という意見もありますが、使うことにストレスを感じないのはとても心地良いことです。
ペニンシュラキッチンというのは油煙が分散するのではないかというお話を頂いていたことがありますが、今回アリアフィーナのレンジフードを入れたのですが、これがかなりの勢いでくるくる回ってくれて、夜だと音が気になるくらいの勢いです。
また、私たちは背が高いことと、キッチンの天井高さが2300ミリとこじんまりする空間設計でしたので、レンジフードは特注の高さでアリアフィーナさんに用意してもらいました。
コンロ周りのタイルはどう汚れるのかという部分については、先日メンチカツを作っていたら油がポンポンはねたのですが、今のところまだ気にならないです。
キッチンをオーダーで作るという考えが定着し始めてきていますが、その良さがもっと分かってもらえたらうれしいなあと思うのです。
特に便利な機能があるわけでもなく、きらびやかな衣装というわけでもないのですが、自分の暮らし方にフィットした家具がそばにあるのは本当に心地良いものです。

キッチン仕上
天板 ステンレスバイブレーション
扉・前板 シナ無垢材・バスウッド無垢材
本体外側 シナ無垢材・バスウッド無垢材/シナ合板
本体内側 シナ合板
塗装 オイル塗装仕上げ

シナとバスウッドのペニンシュラキッチン

価格:1,250,000円(制作費・塗装費、設備機器費用は別)

シナとバスウッドのバックカウンター

価格:800,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は50,000円から、取付施工費は150,000円から)

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