小さいけれど頼もしい腕
「カウンター下収納のオーダー」
藤沢 Y様
design:Yさん
planning:daisuke imai
producer:yasukazu kanai
painting:yasukazu kanai
「引っ越しに伴い、キッチンカウンター下収納の家具を設置したいと考えております。色は白を希望しています。
見積もりをお願い致します。
あとご相談なのですがノートパソコンを収納でき、パソコン台として使えるようなカウンター下テーブル(スライド式)みたいなのがカウンター下収納と組み合わせて出来ればよいのですが、ノートパソコンの奥行きが30cmを超えるため、カウンターの奥行きに合わせるとはみ出てしまいます。
何かよい案はありますでしょうか?」と言うご相談を頂きました。対面カウンターの下をいかすのってなかなか難しいのですが、今まで皆様の家具を作らせて頂いた経験上、必ずしも床から対面カウンターまで高さをピッタリにしたほうが良いと言うわけではなく、対面カウンターの高さまで収納を作ってしまうと、お部屋の広さによっては、反対に圧迫感が出てしまうこともあります。
また、今回はパソコンが使えるデスクのようなイメージをYさんはお持ちでしたので、それなら、ということで思い切って高さの低いカウンター下収納にしてみようと思ったのです。
そして、以前に作らせて頂いたお客様の例を参考にしたのでした。
○「さあ、あそぼう」川崎のY様
○「やさしい街路」小岩のN様
高さを低くすると、対面カウンターの奥行に合わせなくても、違和感を感じることは少なくなります。それに、パソコンデスクの高さはダイニングテーブルの高さを同じですので、高さのレベルが整って、この場所が落ち着いて見えるのです。
「カウンター下ぴったりに収納を収めたかったので低いのは嫌だな~と思っていたのですが、参考資料を見て、これもありかな?と思いました。
パソコンとプリンターが収納できる写真を見ましたが、プリンター部分も座れるようにしてみたら、椅子も買わなくて済みますよね。
それは魅力的です。
パソコンの奥行きは304mm だったと思います。
また素材なのですが、カウンターの色が白のため、ぴったりサイズにするなら統一したかったので白にしようと思っていたのですが、低くするなら色を思い切って変えてしまっても(テレビ、ローテーブルがオーク材のため、白は変・・?)良いかなと思います。
そうすると、材質はテレビボードなどと合わせたほうがいいでしょうか?(センスがないのでどうもわからない・・・)
あと、コンセントがあります。
昨日送った幅はコンセントを抜いた幅になっています。(カウンター右側にコンセントがあり、ルーターをつなげる口があります)
希望は見た目シンプルですっきりにしたいです。
雑誌とか書類を放り込みたいので、引き出しがあるとうれしいです。
また、本やCDなどを収納したいです。雑誌はあまり読まないため、高さのある棚は必要ないかと思います。
宜しくお願いします。」
ひとつのきっかけがあると、お話がいろいろと膨らみます。
そうして、最初に考えたのがこの形に近いものでした。どちらかと言うと、たたずまいは、「静かに確かにずっと」のあざみ野のMさんのリビングボードのようにまとめたのです。
素材も、静かな印象のオークの柾目を使うことにして、ハンドルなどもつけずになるべくすっきりと見せるために手掛けにしました。このプランを見て、Yさんからもう一つ提案が出てきました。
それは、パソコンを使うための椅子をこの家具に組み込むことができるかどうか、ということでした。
この椅子は、皆さん意見が分かれます。
閉まった時には、とてもすっきりするので、オーダー家具ならではの仕上がりにできるのですが、キャスターのタイヤが大きめのものを使わないと、動きが少し重く感じることがあるのです。特にこの椅子の下を収納にしたり、プリンタをしまったりと、どんどん多機能にしていくと、椅子の出し入れが重いのですね。それでも、すっきりとしまえるのは魅力的なのですが、女性が毎日使うには少し大変かもしれない。重く感じてくると動かし方がラフになってどこかにぶつけるかもしれない。
良い面と、悪い面と両方をお知らせします。
その上でどちらの方法が良いか、自分の暮らしにはどちらがあっているかを考えていきます。
そう、家具作りは暮らしを見つめ直すことでもあるのですね。
と、いろいろとお話をしていくうちに一つ疑問点が出てきました。この家具の奥行はなるべくコンパクトにして、あまりダイニング側に出したくないのですが、しまっているパソコンのスライドテーブルを引っ張り出した時に、果たしてパソコンの画面が全開するかどうか・・。パソコンの画面は、90度以上、120度近く開きますものね。そうなった時に、天板と画面がぶつかってしまうのではないか・・。
そこで、天板の一部を変形させることに。
このデザインが、この家具の良いアクセントになってくれました。ゆるやかにカーブして、奥行が狭くなっていく様子はとても上品です。表から見えにくいところに充電用のコンセントも設置してこれで良い形にまとまりました。
ふと思い立って調べ物をしたくなった時に、すっと引き出す自分を支えてくれる小さなテーブル。
それが暮らしの支えになってくれているのはうれしいことです。
オークのカウンター下収納兼デスク
価格:390,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は20,000円から、取付施工費は24,000円から)
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